ネコと魚の間には

不器用人間がまっすぐに生きるために日常の出来事に考えを巡らせるブログ

自分の足で立つ生き方

僕が料理を趣味にしている理由は、その料理がどのようにしてできているか、材料や工程、調理技術、文化に興味があるからであり、自分で作る経験をすることで理解ができると思うからだ。そのため、おもてなし料理にはこだわるのだけど、自分の弁当になるとカロリーを簡単に摂取出来て、作るのに時間がかからないおにぎりだけになってしまうのと、次々にメニューを変えるので基本的な技術は向上していない。それでも、いつか自分の趣味を活かしてカフェやバーのような店を持ちたいと構想を練っている。

 

食はとても興味深いテーマであるが、よしもとばななの代表作「キッチン」は食より悲しみとの向き合い方がストーリーの本質である。本ブログでは、この作品に限らず基本的に紹介する小説の内容の解説はしないが、この作品を読んだ時、これから先に必ず必要なことを教えてもらったような気がしたので、自分の心に留めておく意味でも、一節を引用して書き記しておきたいと思う。

 

つらいこともたくさん、あったわ。本当にひとり立ちしたい人は、なにかを育てるといいのよね。子供とかさ、鉢植えとかね。そうすると、自分の限界がわかるのよ、そこからがはじまりなのよ 

 

人生は本当にいっぺん絶望しないと、そこで本当にすてらんないのは自分のどこなのかをわかんないと、本当に楽しいことがなにかわかんないうちに大っきくなっちゃうと思うの。 

 

世界は別に私のためにあるわけじゃない。だから、いやなことがめぐってくる率は決して、変わんない。自分では決められない。だから他のことはきっぱりと、むちゃくちゃ明るくしたほうがいい、って。 

 

また、あとがきに著者の作品への想いも記されている。

 

「感受性の強さからくる苦悩と孤独にはほとんど耐えがたいくらいにきつい側面がある。それでも生きてさえいれば人生はよどみなくすすんでいき、きっとそれはさほど悪いことではないに違いない。もしも感じやすくても、それをうまく生かしておもしろおかしく生きていくのは不可能ではない。そのためには甘えをなくし、傲慢さを自覚して、冷静さを身につけた方がいい。多少の工夫で人は自分の思うように生きることができるに違いない 」という信念を、日々苦しく切ない思いをしていることでいつしか乾燥してしまって、外部からのうるおいを求めている、そんな心を持つ人に届けたい。

 

この想いは、映画監督の宮崎駿が引退するときに、記者からすべての作品を通して伝えようとしたメッセージは何かと問われた際に語った、「この世は生きるに値するんだ」ということを自分たちの仕事の根幹になければならない、という答えに通じるものがあるように感じている。

 

悲しみも含めて自分の人生なら、自分で自分の人生を想いを込めて生きることができるかどうかが、日々問われているのではないだろうか。

 

 

 

キッチン (新潮文庫)

キッチン (新潮文庫)